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商品説明

19.5cm クロムハーツ ロゴプレートです。
アイウェアPOPで非売品です。

素材はメタルです。

商品情報

カテゴリ メンズ
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ブランド Chrome Hearts

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ランナーとしての旅、支援活動のために辺境の地を訪ねた旅、豊かな文化・芸術に触れた旅など、色々な旅を経験してきた有森さんが、旅の思い出や楽しみ方、ラン旅のノウハウなど、有森流の「旅」について語ります。

 

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6. 「旅ラン」のすすめ

私の「旅ラン」体験

「旅ラン」がマラソン大会出場と旅のセットだとすると、私自身はそれほど多くの「旅ラン」をしてきたわけではありません。二度のオリンピック以降、プロランナーとしてマラソン大会に出場したニューヨーク、ボストン、ゴールドコーストあたりが「旅ラン」と言えるでしょうか。
ゴールドコーストは2001年に出場して優勝したのが縁で、その後9年間、毎年呼ばれて行き、馴染み深い場所になりました。
引退後に自分が興味を持ち、その国に行きたいから出た大会としては、南アフリカ共和国のコムラッズマラソンがあります。長い伝統を持つ過酷なウルトラマラソンなのですが、現役時代とは比べものにならない走力しかないため、2008年、2009年と出場して途中リタイアし、2010年にようやく完走を果たしました。
レース中、何度となく立ち止まり、気持がくじけそうになりましたが、89kmのアップダウンが続くコースには、絶え間なく沿道の応援があり、ランナー同士もお互い励まし合いながらの完走。オリンピックとは全く別の、ある意味ではオリンピックのゴール以上の感動がありました。

現地での行動パターン

選手時代の私の行動パターンは、まず現地に着いたらホテルのまわりをジョグしながら、食料品店、スーパーなどを見つけ、翌朝またジョグに出て、ちがう道を通ったりしながら、そのエリアの土地勘を養うといったものでした。
軽く体を動かすことで、海外の旅なら時差ボケが解消できますし、飛行機などで長時間じっとしていてかたまった体をほぐし、血流をよくする効果があります。大会に出なくても、コンディションをよくするのに役立つのでおすすめです。
現地で特に激しいトレーニングはしません。レースに向けて体はすでに仕上がっているはずですし、直前に無理をしても疲れが残るだけ。大切なのはコンディションを整え、パフォーマンスをどうキープするかです。
レースのコースは全部を下見するのではなく、いくつかポイントだけ確認していました。レース展開によって、スパートを仕掛けられそうな場所を見ておく程度。あまり細かい地図を頭に入れて考えながら走るより、フレッシュな気持で走った方がレース展開にうまく対応できるからです。
コース下見のバスというのもありましたが、長時間じっとしていなければならず、体の血流が悪くなるので、私は乗りませんでした。
知らない土地を走るのが不安なら、10・20・30km地点など、大体の目安になる場所のランドマークを事前に頭に入れておくと、本番で気持が楽に走れると思います。

旅先ジョグのすすめ

私は走ると競技者のスイッチが入ってしまうので、今はもっぱらウォーキングでまわっていますが、「旅ラン」をする方には、大会に出るだけでなく、ぜひ旅先でジョギングを楽しんでいただきたいと思います。
コンディションを整えがてら、疲れが残らない程度にコースをちょっと走ってみるのもいいですし、余裕があればついでに近くの名所を訪ねたり、名産品を試食してお土産選びの参考にしたり、良さそうな飲食店を探したり、ジョグしながら街や地域を回れば色々な発見ができるでしょう。
ジョギングなら歩くよりも広いエリアを回って楽しむことができますし、交通機関に乗ったら気づかず通り過ぎてしまうような場所やモノを発見することもできます。
大会に出ない旅でも、ランニングシューズとウエアを持っていき、ふだんジョギングしている感覚でその土地をまわれば、面白い発見や楽しい経験ができ、旅が一層充実したものになるでしょう。それこそがジョガー、ランナーの特権だと思います。

 

 

 

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5. 旅の楽しみ方あれこれ

歩いてエリア散策

旅の楽しみは人によって色々あると思いますが、私はとにかく歩きまわります。ホテルでエリアの地図をもらい、なるべく交通機関を使わずに、気になるところを歩いて訪ねるんです。
訪れたい目的地が遠くて、時間を節約するため交通機関を使うという場合は別ですが、歩いた方が途中で面白い建物やお店など、色々な発見ができますし、気に入ったらふらっと立ち寄ることもできます。
こういう散策は、仕事で訪れた土地でも、空き時間に応じてそれなりの楽しみ方ができるので、少しでも時間があれば歩いています。

カフェめぐりとパン屋めぐり

旅先の散策でまず探すのはカフェ。昔からコーヒーが好きで、東京にもお気に入りの喫茶店がありますが、旅で訪れた町でもいいカフェを見つけて、気に入れば滞在中に何度も通います。
今まで訪ねた都市でカフェに一番感動したのはウィーン。ハプスブルク帝国の首都として芸術文化が花開いたところだけあって、音楽家が集まるカフェ、文人たち御用達だったカフェなど、文化の香り漂う特色のあるカフェが多い町です。
特にお気に入りの店は、落ち着いた内装も、蝶ネクタイをした給仕さんたちのサービスも、使われている美しい器も素敵で、時間が許せば何度でも通いたくなるほどでした。
パン屋さんも旅先で必ず立ち寄ります。食べるのももちろん好きですが、香ばしい匂いを嗅ぎながら、色々なパンを見ているだけでも楽しくなります。そんなパン選びがしたくて、結局食べきれないほど買ってしまうこともあります。
ヨーロッパには国や土地柄によって色々なパンがありますが、日本でも最近はヨーロッパに負けないくらいおいしいパンに出会うことができるので、出張で時間があればパン屋めぐりをしています。
インドではチャイという伝統的なミルクティーのおいしさに驚きました。独特のかき混ぜ方で空気をふくませながら煮るんですが、田舎のみすぼらしい店のチャイが一番おいしく、高級ホテルのチャイがいまひとつだったというのも意外な発見でした。伝統に根ざした庶民の飲み物は、庶民的な場所の方がおいしいかもしれません。

美術・工芸品を見る楽しみ

美術や工芸品が好きだということはすでにお話ししましたが、日本でも海外でも美術館や雑貨店、骨董品店などを見て回るのが大きな楽しみになっています。絵画や彫刻など鑑賞用のアートも好きですが、元々日常的な道具である工芸品には、また手にとって愛用できる魅力、私の感性を刺激してくれる独特の力を感じます。
私なりのこだわりがあるので、買う場合は何度も店に行ったりしてじっくり考えますし、よほど気に入ったものでなければ買わないのですが、旅先では店をまわって色々なものを見ているだけで、充実した時間を過ごすことができます。
特にパリのようなアンティークの店がたくさんあるヨーロッパの町では、骨董店街をえんえんと歩きます。
時間がなければホテルの周辺を散歩して、美術・工芸でなくても、日用品でも何でもいいから時間の許す限り見て歩くのも楽しいもの。手頃な店がなければデパートに入って上から下まで売場を見て歩くこともあります。
色々なモノを見ているだけで頭の中がリフレッシュでき、色々なアイデアがわいてきたりするんです。
様々なかたちで刺激してくれるものを求めて歩きまわることが、私にとっての旅なのかもしれません。

【次回更新 (予定)】

 

 

 

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4.ホテルにまつわる話

小さくて落ち着けるホテルが好き

どんなところに泊まるかは、どんな食事をするかと並んで旅の大切な要素であり、楽しみでもあります。
私はどちらかというと大きくてモダンなホテルよりも、小さくて落ち着けるホテルが好きです。家族的な雰囲気があって、出先から戻ったとき、ほっとできるようなホテルだとうれしいですね。
毎日移動が続くせわしない旅よりも、滞在型の旅が好きなので、滞在期間中は自分の家のように感じられるホテルが理想です。
格式張った高級ホテルは苦手。贅沢さはなくても、感じの良いサービスやおしゃれなレターセットなど、ちょっとした魅力があるホテルに出会うとまた訪ねたくなります。

こだわりたいのは治安と水回り

ホテルに関して、最低限これだけは譲れないというポイントは、まず治安のよさです。
旅先でどれだけ楽しい体験をしても、ホテルとその周辺の治安が良くないとくつろげず、精神的に疲れますし、旅全体の印象が悪くなります。
私にとってもうひとつ大事なのは水回り。水やお湯がちゃんと出て、お風呂でリラックスできないとストレスがたまります。バスタブなしのシャワーだけでもいいのですが、お湯の出やシャワーの使い勝手が悪かったりすると気持が休まりません。
ヨーロッパのホテルで困るのは、クラシックな感じのバスタブに電話の受話器みたいなシャワーがついているタイプのお風呂。壁にシャワーを固定する場所がないので、手で持って体を洗わなければならないのです。貴族的でおしゃれなデザインが、人によっては魅力なのかもしれませんが、シャワーを持っていてくれる召使いがいるわけでもないので、私にとってはただ不便なだけ。アンティークな工芸品は好きですが、こういう実用的なものには機能をまず求めたいですね。

自分なりの快適な空間を作る

部屋の広さにはあまりこだわりません。少し狭いくらいの方が、なんでも手を伸ばせば届くところに置けるので便利です。逆にスイートルームは、なんだか広すぎて私には落ち着きませんでした。
動きやすさにはこだわりたいので、自分の動線に合わないところに電気スタンドや家具があったら、動かせるものは動かします。もちろんチェックアウトするときには元に戻しますが、できるかぎり使いやすく、動きやすい部屋を自分なりに整えています。
もうひとつ私なりの工夫は、自分のスーツケースを使い勝手のいい収納ケースにしてしまうこと。
衣類などをチャック付きのネットに小分けして持っていき、ホテルではそのネットを立てて並べて、チャックを半分あけておくんです。そうすると、出し入れがしやすいですし、ネットを寝かせてスーツケースを閉めれば出発の準備ができるのでおすすめです。
部屋に使い勝手のいいチェストが備え付けであれば、それを活用するのもいいでしょうが、そういう家具はホテルごとに違いますし、いちいち出し入れしなければなりません。その点、このスーツケース収納術はどこでも同じ使い方ができるので、特に忙しい旅にはおすすめです。

【次回更新 (予定)】

 

 

 

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3.旅の思い出 海外編

リフレッシュと再起、二度のニュージーランド

仕事としての旅が多い私ですが、プライベートで旅した場所で特に思い出に残っているのがニュージーランドです。
バルセロナオリンピックの後、少し時間に余裕があったので、どこかでリフレッシュしようと考えたとき、たまたま兄がニュージーランド北島のネイピアというところに住んでいたので訪ねていったのです。
このときは兄の家を拠点に、北島のタウポ湖やミルキーブルーの湖水で有名なテカポ湖、南島などを訪ね、バンジージャンプも経験し、美しい自然を満喫しました。
それから数年後に足の手術をして、アトランタに向けて練習を開始したときも、ネイピアを合宿地に選びました。ハードな高地合宿ではなく、体を作り直す練習には走りやすくてちょうどいい土地だったからです。

どちらかというと大自然の美よりも、文化・芸術の美が好きですが、ニュージーランドはバルセロナ後のリフレッシュと、アトランタに向けてのリスタートをさせてくれた、思い出深い国です。

辺境の地で強烈な異文化体験

ヨーロッパはプライベートで何度か旅をして、イタリアやフランス、オーストリアなど色々な国の街並みや芸術を楽しみましたが、私にとって強烈なインパクトがあったのは発展途上国への旅です。
選手時代にNPOの支援活動からカンボジアを訪ねるようになり、訪問を重ねながら途上国の問題に関心を深めてきたのですが、引退後に国連の人口基金という機関の親善大使を務め、インド、パキスタン、タイ、カンボジア、エチオピア、ケニア、タンザニアを訪問しました。
特にパキスタンとインドでは、文化のちがいというものの大きさ、支援の難しさを実感しました。
人口の増加が、貧困などの問題に拍車をかけている地域や階層の人たちに、家族計画などの知識や関連製品を提供していこうという支援活動なのですが、そうした人たちは、伝統的な価値観や制度、宗教の中で生きているため、先進国の価値観を持ち込んで啓蒙するだけでは理解が得られず、問題解決が難しいのです。
まず「先進国の方が正しいからこうすべきだ」という姿勢を捨て、異文化を認めた上で、その人たちが困っていることついてサポートしていくという、粘り強い取り組みが必要なのだと感じました。
日本で得ていた情報が、現地に入ってみるとちがっていたという経験も多々ありました。今は様々なメディアや情報ツールを通じて手軽に大量の情報が手に入る時代ですが、現場に足を運び、実際に人と会ってみなければ深いところはわかりません。
メディアの情報ではなく、現地の現実を自分の目で見て、肌で感じることができるのが旅の素晴らしさだということを、途上国への旅から学びました。

アフリカで見た、強い選手を育てる環境

エチオピアとケニアでは、強いランナーが育つ環境を自分の目で見ることができたのも収穫でした。
貧困や人口問題を抱えている国ではあるのですが、社会インフラの整備が不十分だからこそ、人は子供の頃から生活の中で自然と走り、足を鍛えています。
エチオピアではたまたまクロスカントリーの世界大会の予選会を見る機会がありましたが、ものすごい数の若いランナーたちが参加していました。裸足の人もたくさんいましたが、みんな日本ならトップレベルのランナーなんです。
先進国のような娯楽がないからランニングが盛んだと言えるかもしれませんし、貧しいからこそ長距離界の皇帝と呼ばれたゲブレシラシエのような英雄にあこがれて、多くのランナーが高い意識で世界をめざすのかもしれません。
エチオピアでもケニアでも、世界で成功したトップランナーたちが、獲得したお金を社会に還元して、ランナーを育成していることも選手の育成に大きな役割を果たしています。
人口問題をテーマとした旅だったのですが、現地で目にしたものから、こうした自分なりの発見や考察ができるのも、旅の良いところだと思います。

【次回更新 (予定)】

 

 


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ランナーのみなさんから元気をもらう「旅」

私は大会の応援やレースの解説、講演などで日本国内を飛び回っていますが、ほとんどが日帰りか1泊2日の短期出張。国内ではなかなか旅らしい旅ができないでいます。
びっくりするのは、ランナーの方たちが私以上の強行軍で大会に出場していること。前日の夜に車で出発して、夜中から明け方現地に着き、会場付近にテントを張って仮眠し、レースに出て、元気に帰っていく人たちもいます。
そういうランナーを見ていると、私のスケジュールなんてまだまだ甘いという気もします。
大会では私が応援していますが、ランナーのみなさんと触れ合うことで、私の方が元気をもらっているのかもしれません。

伝統工芸と旅

忙しい出張の中でも、時間があると街を歩きます。日本の伝統工芸が好きなので、特に地方の民芸品店や骨董店、ギャラリーなどを見て回ります。
「チャンスがあれば伝統工芸の里を訪ねるような旅がしたい」と考えていたら、ありがたいことにテレビの旅番組『遠くへ行きたい』に出演させていただき、工芸品の作家などを訪ねる旅が実現しました。
そのきっかけは永六輔さんとの出会いでした。何年か前、ランナーでもあるシンガーの高石ともやさんを通じて知り合ったのですが、その永さんが私を「旅番組に向いている」と、制作スタッフに推薦してくれたらしいのです。私の美術・工芸好き、人やものづくりへの好奇心を見てそう思ってくれたのかもしれません。
そんなわけで、今まで3回『遠くへ行きたい』に出演させていただき、静岡の伝統的な弁当箱「井川メンパ」、沖縄の螺鈿細工と琉球ガラスなど、様々なものづくりの達人、貴重な伝統技法の継承者を訪ねることができました。
工芸品そのものも素晴らしいのですが、職人さんの技を極めようとする姿勢、ものを創り上げていく姿には特に感動します。
私は自分にとって走ることが芸術だと思っているのですが、自分が走りに取り組む姿勢と響き合うものを、工芸作家たちに感じるのです。

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『遠くへ行きたい』では伝統工芸以外にもうひとつ、日本の食材というテーマで興味深い旅をすることができました。
静岡では日本一のお茶農家を訪ね、宮崎ではこだわりの飼育法で育てた鶏の卵や日本一の牛、日本で初めて生産者名を銘記した綾町の野菜など、食をテーマに農家を訪問。
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日本には良いものを創り出すことに挑み続ける人たちがまだまたたくさんいます。機会があったらまたそういうものづくりにこだわる人たちを訪ねる旅がしたいと考えています。

【次回更新 (予定)】

 


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1.私にとっての「旅」

「旅行」ではなく、目的がある「旅」をしてきた

私はこれまで国内・国外問わず、色々なところに行きました。
その多くはランナーとして合宿やレースに参加する、あるいはNPOや国連の支援活動のために様々な国や地域を訪ねる、大会の応援ゲストとして参加する、講演を行うといったことが目的の旅、いわば仕事の出張のような旅です。
ただ、そうした旅の中で、観光旅行では行かないような辺境を訪ねたり、普通は見ることができないような人の暮らしぶりや社会の問題を見たりといった得難い経験もしました。
また、近くの世界遺産を訪ねたり、カフェでくつろいだりといった楽しみも経験することができました。
今までのところ、私にとっての「旅」は、観光やショッピングが目的の「旅行」というより、何か目的があってその土地を訪ね、その目的を果たしつつ、その中で自分なりの楽しみを見つけるというパターンが多いようです。

思いがけない収穫がある旅

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美術や建築を見るのは大好きですし、レースの終盤に無我夢中で駆け上ったモンジュイックの丘がどんなところなのか、もう一度見てみたいので、バルセロナは私にとって行きたい場所のひとつになっています。
中東のヨルダンを訪問したときは、障害者スポーツの支援活動で死海マラソンに参加したのですが、近くにある世界遺産のペトラ遺跡を訪ねることができました。広大なエリアの断崖に刻まれた巨大な神殿風の建築やモニュメントなどは圧巻でした。
もちろん、観光が主要な目的ではありませんから、こういうラッキーな体験ができないことも多々あります。国連人口基金親善大使としてインドに行ったときは、タージマハールを訪ねる時間の余裕がありませんでした。
それでも、旅はいつも私に数々の貴重な経験をさせてくれる貴重な機会です。

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私が美術や建築、遺跡に惹かれるのは、見るだけで感動し、「どんな人たちがどんな価値観でこれを造ったんだろう?」と、背景にある人や文化について考えさせられるから。
そういう観点から興味があるのはエジプトのピラミッド、ペルーのマチュピチュなどです。私たちとはちがう感性や価値観を持つ民族が築いた壮大な都市遺跡や建築を見ることで、そこに行かなければ味わえない何か大きなものに出会えそうな気がします。
もし時間がとれて、自分の希望通りの旅ができるとしたら、こうした目的、テーマをひとつ決めて、文化や芸術に触れ、感動を味わう旅がしたいですね。
町から町へ忙しく移動するのではなく、できれば1カ所に何日か滞在して、周辺をじっくり歩きたい。何時にどこへ行くとか、細かな計画を立ててスケジュール通りに動くのではなく、歩きながら色々なものを発見し、感動に浸る時間を大切にしたいです。
こういう旅はかなりの時間が必要なので、なかなか実現できませんが、仕事の旅を通じて見聞を広げながら、いつかは自分が求める旅を実現したいと考えています。

【次回更新 (予定)】

 

 

 

暮らしの中にランニングが馴染んでき人は、レースに出れば走る楽しさがもっと広がるはず。今回は有森さんがレースに出るためのノウハウをアドバイスするほか、ご自身のマラソンの思い出を語ります。

 

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6.マラソンの思い出~二度のオリンピック

ハプニング続出のバルセロナ

バルセロナオリンピックでは、本番直前に色々なハプニングがありました。
ひとつは現地に入ってから足の甲に痛みが出たこと。元々私は土踏まずに縦方向のアーチがないんですが、世界陸上で足を傷めた結果、横方向のアーチも落ちて、足に負担がかかる状態で走っていました。そのため常に痛みが出やすい状態だったのです。
この痛みはシューズのソールを調整し、針を打ってもらうことでなんとかおさまりましたが、当日にはコンタクトレンズを片方なくすというアクシデントが発生。結局レンズは見つからず、片方の視界がぼやけたまま走ることになりました。
アクシデントがあると、気が動転して実力が出せなくなりそうなものですが、レース中、目のことはまったく気になりませんでした。視界が限定されているおかげで逆に自分の走りに集中することができたのか、レースに夢中だったから気にならなかったのか、よくわかりませんが、とにかく走っているあいだ、足のことも目のことも一切意識しませんでした。
レースは、一度何人かの選手に先行され、終盤追い上げていくという展開になりました。彼女たちを1人ずつかわしていき、ビクタギロワさんを抜いたときは、一瞬「トップに出たのかな」と思いました。ちょうど路地が続いていたのと、前に大きなオフィシャルカーがいたため、前方が見えなかったのです。
エゴロワさんが前にいるのが見えたのは、広い通りに出て視界が開けたときでした。ゴールの競技場があるモンジュイックの丘がすぐむこうに見えました。一度は彼女に追いついたたものの、最後のスパートで離されて結果は2位。
それでもレース前はメダルをとれるなんて思っていませんでしたし、小出監督にも「よくて5位」と言われていましたから大満足。感動の銀メダルでした。

完全燃焼したアトランタ

アトランタまでは、足の故障で走れなくなり、手術をするなど、バルセロナよりはるかに苦難の連続でした。
そんな中でも走る環境を整え、もう一度オリンピックで戦い、結果を出すためにあらゆる手を尽くしました。
幸か不幸か、リクルートには駅伝で私より速い選手がたくさんいたため、マラソンのトレーニングに集中できましたし、監督も私の面倒をしっかり見てくれました。専属のトレーナーや栄養士、練習パートナーからなる「チーム有森」が確立され、サポート体制が整ったことも大きなプラス材料でした。
オリンピック本番は、無名だったファツマ・ロバさんがかなり早い時点で前に出るという意外な展開になりました。メダル候補の選手たちは「いずれ落ちてくる」と予想し、あえて追わなかったのです。ところが後半になっても彼女のペースが落ちず、折り返しで予想外の大きな差がついているとわかったとき、勝負の焦点は2位争いに移りました。
このときもエゴロワさんとの戦いになりましたが、結果は彼女が2位、私が3位。それでも、自分の人生を賭けて挑み、バルセロナよりはるかに多くの困難をあきらめずに乗り越え、すべてにベストを尽くしての結果だったので、自分にとって価値ある銅メダルでした。
ゴール後のインタビューで出た「自分をほめたい」という言葉には批判もありましたが、私としてはそうしたレースまでの道のりやその後の人生への思いなど、すべてを込めたレースで完全燃焼できたことに対する素直な感想だったのです。

生き方を教えてくれたマラソンという競技

マラソンは私にとって自分の生き方をかたちづくってくれたかけがえのない競技です。
今もレース解説などの活動、大会の応援など、様々なかたちでマラソンと関わっていられるのは、現役時代に選手としてマラソンに取り組んだおかげですし、もっとベーシックな生活の部分において大切なことを教えてくれたのもマラソンです。
食事や生活のリズム、体の動きも、メンタルのコントロールなど、ライフスタイル全般にかかわることを、私はマラソンを通じて学びました。
マラソン競技の高いレベルで戦うには、トレーニングだけでなく、こうした生活のすべてにわたって当たり前のことを日々積み重ねていくことがとても大切です。
私は決して素質に恵まれていたわけではありませんが、当たり前のことをひとつひとつ継続し、効果的に組み合わせ、整えていくことによって、世界レベルで戦うことができました。その経験は大きな自信になりましたし、そこで身につけたノウハウは、マラソンだけでなくあらゆることに通じるものだと思います。
生きることのすべてにつながる深さと広さがあること、しかも誰でも始めたその日から、少しずつでも生活のスタイルをよりよいものに変えていけること、それがマラソンの魅力です。だからこそ、多くの人がこの競技に挑み続けるのだと思います。

【次回更新(予定)】

 

 

5.マラソンの思い出~バルセロナまで

「トラック競技の落ちこぼれ」からマラソンへ

今回は私のマラソン経験についてお話ししてみたいと思います。
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ところが、1989年、リクルートに入社したとき、大きな壁にぶつかりました。実業団レベルではあまりに遅すぎて、出られる種目がないんです。何しろ800mの記録が当時の中学記録より遅いんですから話になりません。「こんなスピードで何ができるんだろう?」と悩んだ末に選んだ道がマラソンでした。
マラソンはメンタルが大きなウエイトを占める種目ですし、スピードがなくても日々の地道な積み重ねによって力をつけていくことができます。その前年、ソウルオリンピックで優勝したロサ・モタ選手が笑顔でゴールするのを見て、「私もいつかマラソンを走ってみたい」という気持もありました。

ちょうど80年代に活躍した選手が引退し、世代交代が始まろうとしていた時期でもあったので、マラソンに賭けてみることにしたのです。

不本意な初マラソンと故障からの再起

初マラソンは1990年1月の大阪国際女子マラソン。
89年の夏まで10000mのトレーニングをしていたんですが、そこからマラソンのトレーニングに切り換え、35?40km走など長い距離の練習を増やして大会に臨みました。
練習はとてもうまくいったと言えるものではありませんでした。レース直前、足に痛みが出て、出場をやめようかと考えたほど仕上がりはひどかったんです。
しかし、初マラソンということで親が応援に来ることになっていましたから、走れるところまで走ってみようということでスタート。結果は予想通り、終盤になってまったく体が動かなくなり、足を引きずるようにしてゴールしました。

総合6位ですから初マラソンとしてはそんなに悪い結果ではないのかもしれませんが、自分としては「みっともないレースをしてしまった」という思いが残りました。

つらかったのは、それから約8カ月も故障で走れなくなってしまったことです。「ライバルたちは着々と練習しているのに自分はできない」という焦りと戦いながら、「来年の大阪で絶対に結果を出す」という気持で、休養とリハビリの日々を送りました。
快調にどんどん練習できるときだけでなく、こうした故障で練習できない時期にも、めざす目標に向かって必要なこと、あたりまえのことを地道にコツコツと積み上げていくことが重要なんです。

努力の甲斐あって、翌91年1月の大阪で当時の日本最高記録2時間28分01秒を出し、カトリン・ドーレ選手に続いて総合2位、日本人1位になることができました。これがその夏の世界陸上につながっていくことになります。

世界陸上の「負け」をバネに、バルセロナめざしてトレーニング

期待されて臨んだ世界陸上でしたが、結果は4位。「日本記録保持者だから」という気負いからトレーニングがうまくいかず、体を万全の状態に仕上げられなかったことが原因です。
山下佐知子さん(現第一生命監督)が2位になってバルセロナオリンピックの代表に内定、私は候補の1人になりましたが、出場できるかどうかは微妙でした。しかし、何より山下さんに負けたことが悔しくて、とにかくしっかりトレーニングを積むことに集中しました。
バルセロナの選考は当時大きなニュースになりましたが、その年の大阪で当時無名だった小鴨由水さんが私の日本記録を大きく上回るタイムで優勝して、これが当時の世界歴代10位にあたる好記録だったため、一躍有力候補になりました。
残るひとつの枠を私と、大阪で2位になった松野明美さんが争うかたちになったのですが、陸連が色々な条件を考慮した結果、私が選ばれました。
正式発表の前に松野さんが記者会見を開いて、「強い選手を選んでください。私はメダルをとる自信があります」と訴えたのを記憶している方も多いでしょう。
松野さんは今でも「私が出ていたら金メダルをとっていた」と言います。私もあのときの力は松野さんの方が上だったと思いますし、私より金メダルをとれる可能性は高かったのかなという気もします。
しかし、過去のオリンピックを見てもわかるように、強い選手が勝つとはかぎらないもの。アトランタのピッピヒ選手、アテネのラドクリフ選手など、その時点で「最強」「優勝候補」と目されていた選手たちが勝てませんでした。
結局「勝った選手が強い」としか言えないのが、勝負の難しさです。

【次回更新 (予定)】

 

 

4. マラソンを走りきるには

気持をコントロールする

長い距離、特にフルマラソンを走りきるのは、初心者でなくてもなかなか大変です。経験を重ねれば距離には慣れてきますが、そうなるともっといいタイム、いい順位を求めるのが人間の心理ですから、どんなレベルでもマラソンが大きなチャレンジであることに変わりはありませんし、だからこそ走って面白いと感じるのでしょう。
マラソンはフィジカルな体力や技術のほかに、メンタルが大きな要素になるスポーツです。きつくなってきたとき、いかにがんばれるかは気持をいかにコントロールできるかにかかっています。
エリートから市民ランナーまで、よく耳にするのは「沿道の応援が力になった」という言葉。沿道の盛り上がりに気分が高まると、ふだんのランニングでは経験したことがないようなパワーが出てくるものです。あまり興奮して序盤から飛ばしすぎ、後半つぶれるのは困りますが、30km過ぎのつらくなってきなど、意識的に沿道の応援から力をもらうようにすると、それまでとはちがった力がわいてきます。
自分と同じか少し速いペースで走っている選手を見つけて、その人に引っ張ってもらうというのもひとつの方法です。自分に合ったピッチ、ペースで走っている人の後ろにつくと、単独で走るより楽に走ることができます。
エイドステーションや距離表示を目印にして、「次のエイドまでがんばろう」「何kmまで来たからあと何km」と、気持に区切りをつけていくのもランナーがよくやる気持のコントロール法です。
かなりきつくなってきたら、電柱1本ずつを目印に、「次の電柱まで行こう」というがんばりかたを繰り返していくという方法もあります。
言葉にすると過酷な感じもしますが、ふだん経験できないような状況でがんばったことが走り終わった後の爽快感、達成感につながり、いい思い出になるというのがマラソンの面白さ。これからマラソンに挑戦する方はぜひ自分なりのがんばりで、いい思い出を作っていただきたいと思います。

ペース配分の大切さ

もちろんマラソンは気持だけで走りきれるものではありません。まず日頃のトレーニングで築いた走力があり、本番ではその走力に応じた走り方をすることが大切です。
ペース配分の基本は、序盤を少し抑え気味に入ること。最初からとばしすぎると、あとからダメージが来て、つぶれる原因になります。
レースではまわりにスタート直後からとばす選手がたくさんいると思います。そこには走力がある人もいれば、大会の雰囲気に興奮してとばしすぎている人もいるでしょう。
大切なのはそうしたまわりの動きに惑わされず、自分が楽に走れるペースを探りながら序盤を走ること。前にいる人を抜こうとするのではなく、ちょうどいいペースの人を見つけてひっぱってもらうという感覚で走りましょう。
5km、10kmと走りながら、行けそうなら少しずつペースを上げていけばいいのです。その辺の感覚は走っていると自然にわかってくるものです。
20kmやハーフマラソンを経験している人は、そのペースを基準にフルマラソンの適度なペースをおおまかに割り出すこともできます。たとえば1km-5分半(5km-27分半)でハーフマラソンを走った人ならプラス30秒、つまり1km-6分(5km-30分)で入り、様子を見ながら行けそうなら5分45秒くらいまで上げるといった走り方をするわけです。
ただし、こうした数字はあくまで参考であって、大切なのは感覚。走るときに重要なのは数字ではなく、そのペースが自分にとってどれくらいきついのかなど、自分の体の中で起きていることを把握することであり、それには感覚を磨くしかないのです。
ふだんのトレーニングから周回コースなどでタイムを計測しながら走り、ペースの感覚を磨いておくと、だんだん時計を見なくても今自分がどのくらいのペースで走っているかわかってきます。感覚が研ぎ澄まされてくると、そのペースがどれくらいきついのか、ペースを落とすべきなのか、キープすべきなのか、あるいはもっと上げてもいいのかといったことがわかるようになります。
1km何分という数字はあくまで判断材料のひとつであり、トータルでよりよい判断をするためには、こうした感覚を磨いていくことをおすすめします。

レース中のトラブル対応

フルマラソンなど長いレースでは、脚が痙攣したり、お腹の具合が悪くなったりと、体の中に色々なトラブルが起きることもあります。
痙攣の不安がある人は、キネシオテープを貼ると筋肉の負担を和らげることができます。ただし専門的なノウハウが必要なので、治療師やそれなりの技術を身につけた人に貼ってもらう必要があります。
キネシオテープが難しい場合は、筋肉の負担を緩和してくれる機能性タイツやソックス、サポーターを使うのもひとつの方法です。腰から脚全体を覆うタイツだけでなく、ふくらはぎや腿だけに装着するサポーターも色々種類が出ているので、必要に応じて使い分けるといいと思います。
レース中に痙攣が起きそうになったら、早めにストレッチや柔軟運動をすると、症状を緩和することができます。ただし、あまり深い屈伸運動をすると、疲れがほぐれるどころか、立てなくなる危険性があるので要注意。
タイムを気にしない初心者なら、早い段階から少しずつウォーキングを入れるようにすると、脚のダメージが深刻になるのを防ぐことができます。終盤に立ち止まって長時間ストレッチするよりも、結果的に速くゴールできるかもしれません。
お腹のトラブルは症状によって対応もちがってきます。それが食あたりのような病気なら、水分の吸収ができなくなって脱水状態になり、生命の危険につながりますから、リタイアもやむをえないでしょう。
しかし、マラソンでよくあるのはトイレに行きそびれたことによる腹痛、疲労や水の飲み過ぎで起きる下痢気味の症状といったものです。こうしたトラブルの場合はがまんしないでトイレに行きましょう。出すものを出してしまえば、問題は解消されるはずです。

【次回更新 (予定)】

 

 

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3.レースに必要な装備

軽いシューズが速いとはかぎらない

レースは長さやコース、天気など、日頃のランニングとは色々な面で違ってきますから、快適に走りきるために、ウェアやグッズ選びが必要です。
まず、シューズはウォーキングができるような底が厚めのもの、軽くて薄めのものなど、最低でも2種類くらいは日頃から使って、レースに合ったものを当日はくようにしましょう。
夏用にはアッパーのメッシュが粗くて通気性のよいシューズがありますから、夏の大会、海外の暑いレースに出る人は、シーズンによる使い分けもした方がいいでしょう。
ひとつ気をつけたいのは、レース用だからといって軽ければよいというものではないということ。あまり脚力がない人は、適度な重さがあるシューズの方が振り子の原理で足を前に振り出せるので楽に走れます。逆に軽すぎると、自分の力で足を運ばなければならないので、長時間走っているとかえって疲れるのです。

対応力のある防寒グッズがおすすめ

マラソンは秋から冬、春先にかけてがシーズン。多くのレースで防寒対策が必要になります。
しかし、ただ着込んでいればいいというわけではないのが、レースの難しいところ。日常のランニングでは真冬ならある程度ウェアを着込んだまま走ることもできますが、レースでは臨機応変の対応が必要です。
特に真冬の大会はスタート時が凍えるくらい寒いのですが、時間が経つにつれて気温が上昇し、走ることで体温も上がってくるので、防寒用のウェアが邪魔になってくることもめずらしくありません。
したがって長袖シャツやロングタイツより、レースの途中でずらしたりはずしたりできるアームウォーマーやレッグウォーマーのようなものが便利です。
首を温めるネックウォーマーは、暑くなってきたら頭にずらして帽子として使えますし、上から熱を逃がしてくれるのでおすすめです。
もうひとつ、意外に役立つのは防水スプレー。普通、大会は災害につながるような豪雨でないかぎり雨でも開催されますが、雨で体が冷えるとレースのパフォーマンスに影響しますし、体調不良でリタイアといったことにもなりかねません。
雨が降りそうなときは、防水スプレーを持っていき、ウェアに吹きつけておくと、雨をはじいてくれるので、快適に走ることができます。
レインウェアを着る手もありますが、これは体が蒸れて汗をかき、その汗で体を冷やしてしまうことになります。その点、ランニングウェアに防水スプレーを吹きかければ、ウェアの通気性は確保されるので、そういう心配はありません。

疲れを軽減するグッズあれこれ

もうひとつ大切なのは日差し対策。その中で一番重要なのはサングラスです。これは初回の「ランニングのすすめ」でも触れましたが、日差しは目の周辺、特に眉間からこめかみにかけてストレスを生み、その疲れがすべての神経に影響を与えます。
サングラスというと夏のグッズと思いがちですが、春秋冬でも紫外線がもたらす疲労はかなりありますから、1年を通じてレースに必要です。
夏にはグレーなど涼しげな色のレンズ、冬にはオレンジなど暖かい色のレンズといったように、季節でレンズの色を使い分けるとより効果があります。
大切なのはファッション性ではなく、軽さやフィット感など機能で選ぶこと。自分に合ったサングラスを使うと、レースをより快適に走ることができます。
女性には日焼けを嫌い、全身をウェアで覆ってレースに出る人がいますが、暑いだけでなく、体の動きの邪魔になり、疲れが何倍にもなるのでおすすめできません。
走りやすいウェアで、日焼け止めを塗って走り、ゴール後にお肌をケアすることで効果はあると思うのですが。
中には痛み止めのクリームをウエストポーチにしのばせたり、愛用の機能性ドリンクの顆粒タイプを小さなボトルに入れて、何本もウエストベルトにつけたりして走る人もいます。どうしても必要というならあえて止めませんが、レースではわずかなものが走りの邪魔になりますから、そのデメリットも考慮しながら判断してください。

【次回更新 (予定)】

 

 

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2.大会に向けて

生活の中で無理なく強化トレーニングをプラス

大会に出ることが決まると、「気合いを入れて走り込まなきゃ」と考える人が多いようです。しかし、急激に練習量を増やしたり、強化トレーニングを急に始めたりするのは、故障につながりやすいので、あまりおすすめできません。
続けていたジョギングを最近怠けがちになっているという人は、レース出場をきっかけに走る習慣を取り戻すのもいいでしょう。しかし、ふだん走っている人なら、いつもどおりのランニングに、日常生活の中で無理なくできることを少しプラスするくらいでいいと思います。
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ごく簡単なことですが、続けていけばジョギングでは鍛えられない体幹や足腰の強化ができ、故障の予防にもなりますし、レースで未知の距離を走りきる体を作ることができます。

大切なのは無理なく続けられること。日常生活の中でできるこうした動きは、簡単だからこそ続けられるのです。

トレーニングを組み立てる

休日には郊外や山などに出かけて、ハイキングのような感じで楽しく歩いたり走ったりしてはいかがでしょう。ストレスなく距離をこなすことができますし、体幹や足腰の強化もできます。
ひとつ気をつけたいのは、あまり大会が近づいてから長い距離を走ったり、月間走行距離を伸ばしたりしないこと。
持久系の走り込みは1カ月くらい前までにして、それ以後は量を減らして疲れを抜き、短めのダッシュやインターバル走などでスピードをつけるのが、基本的なトレーニングの組み立て方です。長く走るための持久力は鍛えるのに時間がかかりますが、6週間くらいは持続するので、レースが近づいてからやってもやらなくても、そんなに変わりはありません。
もちろん、スピード走の経験がない人は、大会直前に不慣れなことをやると、故障の原因になりますから、ダッシュやインターバルをあえてやる必要はありません。
ただし、足腰の筋力はトレーニングを継続していないとすぐに落ちるので、日常生活の中で無理なく続けられる補強運動は大会まで意識して続けてください。

タイムの短縮には経験と反省の積み重ねが大切

いくつか大会に出ると、「もっといいタイムを出したい」という気持になるものです。
タイムの短縮をめざすなら、そのための練習も必要ですが、記録の出る大会を選ぶことも大切。コースの起伏や風などのほか、寒い真冬の大会に向いている人、秋や春先の方が向いている人など、人によって季節の向き不向きもあります。いくつかタイプの違った大会に出て、自分に合ったレースを見つけるといいでしょう。
その際、トレーニング日記をつけて、どんな準備をしてどんな結果が出たかを記録しておくと、次の大会に向けてよりよい準備ができるようになります。
トレーニングでもレースでも、反省というのがとても重要です。ランニングの本や雑誌などで、ノウハウはいくらでも手に入りますが、何が自分に必要か、自分に合っているか、具体的にどう実践していくのかは、経験と反省の積み重ねを通じて、自分でつかんでいくしかないからです。
トレーニングや大会で思うような走りができなかったとき、その原因は当日だけでなくそれまでの流れの中にある場合も多いもの。持久力や足腰のベースをちゃんと作らないでスピードを出しすぎたなど、何か手順のミスややりすぎがあったはずなのです。

記録をつけて分析や反省を続けていると、同じミスを繰り返さなくなりますし、日々無理なく練習を積み重ね、怪我なく大会に出ることができます。それが大会でよい記録すための一番の近道だと思います。

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1.レースの魅力と大会の選び方

レースが新しい可能性を広げてくれる

日々の暮らしの中で走る習慣が身についてきたら、一度大会に出てみてはいかがでしょうか?
日々走っているだけで楽しいと感じているかもしれませんし、走りつづけることで得られる発見や進歩もあるでしょう。しかし、レースはそうした日常の走りとはまた違う楽しさ、ランニングの新しい可能性を教えてくれます。
「ランニングのすすめ」でも少し触れましたが、レースに出ると、ふだんとちがう土地で、沿道の声援を受けながら、多くのランナーたちと走ることによって、今まで経験したことのない刺激、充実感を味わうことができます。
レースの記録も、日頃の練習で計るタイムとはちがう意味を持っています。それは大会で競い、粘り、がんばって出した公式の記録なのです。「もう少しいけたかもしれない」「次はもっとがんばろう」と思える数字、次へのモチベーションにつながる数字になるかもしれません。
大会で言葉を交わした人、同じくらいのタイムで競った人と仲良くなり、情報交換したり、連絡を取り合って一緒にレースに出たりと、交流の輪が広がっていくケースも多いようです。

段階を踏めばフルマラソンもこわくない

東京マラソンのような人気のフルマラソン大会にいきなり出る人も少なくないようですが、やはり最初は段階を踏んで距離を伸ばしていった方がいいと思います。
いきなりフルマラソンに挑戦すると、かなりつらい思いをするでしょうし、「やっぱりマラソンは過酷だからもうたくさん」と、レースに出るのを一度でやめてしまうことになりかねません。
しかし、5km、10kmのレースを1回くらい経験してからハーフマラソンを走り、自分の走力を見極めてからフルマラソンという具合に段階を踏んでいけば、楽しみながらマラソンの世界に入っていくことができます。
走る習慣ができている人なら、5km、10kmは問題なく走れるでしょうし、その経験があれば自分の走力を理解した上で、それなりの準備をし、自分に適したペースでハーフを走りきることができるでしょう。

ハーフを経験していても、フルマラソンの30kmから先はそれなりにきついものですが、それでもハーフを知らずに出るよりはいい準備ができるはずですし、きつさの中にも気持ちのいい充実感が味わえると思います。

景色、食べ物、季節、演出……楽しい大会の選び方

大会を選ぶときは、自分に適した距離であること以外に、景色のよさ、食べ物のおいしさなど、楽しさを基準に選ぶことをおすすめします。
自然の眺めが美しいロケーションで開催されるレースは、そこを走るだけで楽しいもの。たとえば「富士山マラソン」は富士山と河口湖、西湖、付近の山々の紅葉などを楽しむことができます。
もうひとつおすすめしたいのは、花をテーマにした大会。「さが桜マラソン」のように、桜の季節に開催される大会は全国にいくつもありますが、桜を眺めながら走る気分はまた格別です。
桜以外にも、北海道名寄市の「名寄ひまわりリレー」など、それぞれの土地ごとに色々な花が楽しめる大会があります。
また、その土地で味わえるご当地グルメや名産品も、大会に旅の楽しさを加えてくれます。食べ物のおいしさでレースの疲れなど吹き飛んでしまいますし、「次もまた来よう」という気持にさせてくれます。
たとえば新潟県寺泊の「寺泊シーサイドマラソン」は、すばらしい日本海の眺めのほかに、旬の海の幸や野菜を使った「番屋汁」という郷土料理のサービスが人気です。
「篠山ABCマラソン」は歴史ある街並みや田園風景が美しい関西の人気大会ですが、テレビ局や関西のタレントさんが盛り上げてくれる演出も魅力です。
熊本城がゴールになっている熊本城市民マラソンも、歴史やお城に興味のある人には特におすすめの大会です。
私も毎年いくつかの大会の応援に行きますが、「さが桜マラソン」などでは、参加者を対象にセミナーを開き、怪我を防いで楽しく完走するためのノウハウを指導しています。こうした指導を受けられる大会を選んで、走り方を教わるのも、楽しみ方のひとつだと思います。
海外では、ゴールドコーストやバンクーバー、マウイなどロケーションのいい大会が、レースだけでなくリゾートや観光も楽しめるのでおすすめです。
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主に私がよく知っている大会、なんらかのかたちで関わってきた大会をご紹介しましたが、ほかにも魅力的な大会はたくさんありますから、みなさんもぜひ好みの大会を見つけて参加してください。

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楽しく走り、元気に毎日を送るためには健康管理が大切。有森さんが食事や水分補給、体調管理についてアドバイスします。

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6.健康診断・人間ドックのすすめ

元気に走るための血液検査

適度なランニングを続けることで、元気に楽しく暮らせるようになった人は数え切れないほどいます。しかし、運動能力と医学的な健康はやはり別のもの。運動能力が高いからといって、それだけ健康のレベルが高いとは限りません。
むしろ速いランナーほど成績を上げるために無理をして、健康から遠ざかってしまう危険があります。
私の場合、選手時代は若かったこともあり、総合的な健康診断はおろそかにしていましたが、血液検査だけは続けていました。

血液を検査すると、赤血球、白血球の量から貧血の度合い、免疫力などがわかるほか、肝機能の状態もわかります。つまり、運動するための健康度は最低限わかるので、これはアマチュアのランナーにもお勧めできます。

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私はこれまで人間ドックに3回ほど行ったことがあります。2年前には「血液がドロドロで動脈硬化になりやすい」と警告を受けました。
運動選手が必ずしも健康とはかぎらないし、引退した運動選手は一般の人より要注意といいますが、私もその1人と言えるかもしれません。

あまり神経質になる必要はありませんが、ふだん元気に走っている人も、安心して走りつづけるために、定期的に医療機関で健康診断を受けた方がいいと思います。

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脳ドックは一度だけ受けたことがあります。脳の血管の状態を克明に画像で見ることができることに驚きました。
体の状態は、長年運動していると、かなり把握できるようになるものですが、脳の状態は全くわかりません。元運動選手で、引退後も元気に活躍していた方が、若くして突然クモ膜下出血のような脳の病気で亡くなるのを見ていると、運動している人には人間ドックよりもむしろ、脳ドックの方が必要かもしれないという気もします。

みなさんも、ご自身の体力を過信せず、定期的に検査を受け、安心してランニングを楽しんでください。

 

 

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5.効果的な休養のとり方

走りをやすむべき3つのケース

趣味としてのランニングを楽しんで続けたいなら、次のような場合は走るのを休むべきです。
まず雨が降っているとき。体が冷えて体調を崩しやすいですから、そんな危険を冒してまで走る必要はありません。
次に、脚などに痛みがあるとき。痛みは体が休みを求めているサインです。炎症による痛みを感じている段階なら比較的早く治りますが、無理をして走っていると、故障してしまいます。組織が損傷して、治すのにもはるかに時間がかかります。
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運動のバリエーションを持とう

「脚が痛いとき、睡眠不足のときに走らない方がいいのはわかるけど、雨で走れないのはつらい」という人もいるでしょう。
そういう人は、ランニングにこだわらず、プールで泳ぐとか、ジムでエアロバイクをこぐとか、別の運動をしてみてはどうでしょう? ランニングと違う体の使い方をすることで、故障を回避しながら、運動能力を強化することができます。

ジムで運動する場合、気をつけたいのはトレッドミルを使って走るとき。トレッドミルの上では、一見走っているように見えますが、前から押し出してくるベルトに着地するたびに、脚を突っ張ることになり、かなりの脚力がないと、ヒザをいためやすいのです。あまりトレーニングをしていない状態で無理にトレッドミルの速度を上げるのはやめた方がいいと思います。

つなぎの筋トレもお勧め

毎日同じメニューで走るより、週に1?2回でもランニングと違う運動をはさむと、休養になると同時に、体の別の部分が鍛えられ、トレーニングにもリズムが出てきます。
競技選手の場合、きついトレーニングをするメイン練習の日を設定し、その間をジョグなどでつなぐといった練習をします。メインのレベルが高いので、ジョグが休養になるのです。
私の場合は、つなぎの練習として、ウエイトトレーニングをよく行っていました。日本人選手はあまりやりませんが、外国では一般的なトレーニングメニューです。体幹を鍛えることができますから、正しいフォームで楽に速く走れるようになり、ランニングにもプラスになります。

一般に持久力は間があいても維持できますが、筋肉は急速に衰えます。筋肉が衰えると、故障しやすくなりますし、いいフォームで走れず、ランニングの距離をこなしているわりに、大会でいい記録が出ないというケースも少なくありません。ですから、ランニングのために、一般のランナーにも最低限の筋トレをすることをお勧めしたいですね。

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4.ランニング中の体調管理

ランニングギアで疲労を防ぐ

ランニング中の体調管理で、まず大切なのは道具で体を守ること。
帽子とサングラスは、日差しから頭や眼を守ってくれます。夏の強い直射日光が体から体力を奪うのは、想像がつきやすいと思いますが、眼から入ってくる光も神経を疲れさせ、ダメージを与えます。
日差しがないときでも、風が眼を疲れさせますから、私はクリアレンズのサングラスをかけます。

冬の寒さも体力を奪いますから、防寒対策も必要です。私は体を締めつけるものが好きではないので、あまり使いませんが、温度や走る速度などに応じて、寒さから身を守るグローブ、アームウォーマー、レッグウォーマーなどを適宜活用すれば、体調維持の役に立つと思います。

走りながら自分と対話する

ランニングは手軽で楽しいだけに、ついつい夢中になって、スピードを上げすぎたり、疲れるまで走ってしまいがちです。
普通にジョギングするなら、呼吸を意識すれば、自分の疲れ具合や飛ばしすぎは簡単にチェックできます。
走る習慣が身についてくれば、走りながら自分の状態を感じることができるようになり、走りを適正にコントロールすることができます。
そのためにもときどき1人で自分に集中して走ることをお勧めします。自分の体調やフォームがどうなっているかをチェックしながら走るんです。つまり自分との対話。
友達とおしゃべりしながらの走りも楽しいものですが、いつも人と走っていると、自分との対話ができず、体調や体の動きを感じ取る感覚が磨かれません。週に1~2回は自分と対話しながら走る機会を持ちたいものです。

心拍計に頼るより、感覚を磨こう

90年代から心拍計が普及して、心拍を計りながら走るランナーが増えてきました。運動強度を数値で把握しながら、科学的なトレーニングをするのもいいのですが、それだけに頼って、自分の中の感覚を磨かないのは感心しません。
複雑な体の機構を数値だけで完全に把握するのは不可能。体の状態をトータルに把握でき、正しい判断を下せるのは、経験の積み重ねで磨いた感覚だけだからです。
私の場合、心拍は朝の寝起きに計り、体調を把握する目安にしていましたが、トレーニングでは心拍計を使いませんでした。科学的なデータに縛られた練習では、ここ一番で自分の限界を超えるような力が身につかないからです。
近年、私より素質がある選手たちがオリンピックなどの大きな大会で結果を出せないでいるのは、練習方法に問題があるのではという気がします。
これはアマチュアランナーとは違う世界の話ですが、磨かれた感覚でしか捉えられないものがあるという基本は同じだと思います。

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3.水・ドリンクの大切さ

ドリンクの成分を考えて水分を補給する

ランニングをする上で、水分補給はとても重要です。
汗で失われた水分を補わないと体に悪影響を与えます。短いランニングなら、走っている間に補給しなくても走りきることはできますが、それでも走り終わってから、失った分の水分を補う必要があります。
スポーツドリンクは色々な種類があり、それぞれ成分が違います。ナトリウムや糖分を補給する、アミノ酸で脂肪を燃焼するなど、ドリンクの成分と機能をよく理解して選びましょう。
お茶やコーヒーなどカフェインを含む飲み物は、利尿作用があるので、水分補給には不向きです。水分としてカウントせず、水分補給にはカフェインを含まない飲み物を飲みましょう。

私はアメリカでトレーニングしていたとき、果物でジュースを作って飲んでいました。天然果汁はおいしいだけでなく、ビタミンやミネラルが豊富ですから、スポーツの疲労回復にも効果的です。皮ごとジュースにするには、オーガニックの果物がいいですね。

冷たい飲み物による内臓の疲労に注意

水分をとるときに、もうひとつ大切なのは温度です。あまり冷たいと、内臓が疲れます。冷たいものが入ってくると、胃はそれを同じ温度にしようとエネルギーを使うからです。
これは冬だけでなく、夏でも同じ。むしろたくさん汗をかいて、大量に水分補給が必要な夏の方が要注意かもしれません。

内臓が疲れると、運動能力が落ちるのはもちろん、食事の消化吸収が悪くなります。エリートランナーでなくても、日常的に走っている人にとって、栄養が十分吸収されないというのは、長期的な体調不良につながりますから要注意です。

水分が十分とれているか判断するには

水分は運動中や運動後だけでなく、日常生活でも適量をこまめに飲む必要があります。特に汗をかかなくても水分は尿として排出されますし、皮膚からも蒸気や汗として出ていくからです。特に日頃運動している人は、運動していないときにも普通の人より水分を多く必要とします。
私は選手時代、日常の水分補給を怠りがちでした。水分が不足してくると、尿の色が濃くなってくるので、自分の尿の色で水分摂取の目安にしていました。
健康の目安は尿の色が透明であることです。

みなさんも、尿の色で水分補給の判断や体調チェックをしてみてはいかがでしょうか。

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2.体調チェックと体重管理

体重を毎日記録して、体調チェック

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私の場合は、体重を計って記録していました。計測のタイミングは毎朝起きて排便したあと。これなら毎日同じ条件で計ることができます。
一番大切なのは、体重に変動がないこと。不自然な変動があるときは、その原因を考えて、生活を改善する必要があります。
競技者の場合、わずかの変動でもトレーニングや食事の改善などに神経を使いますが、一般の方の場合、食べ過ぎや運動不足で体重が増えたら、もう少し走ってみるとか、間食を減らしてみるといった改善をしてみましょう。

自分と対話しながら体調を管理

第1回の「コンディショニングとアフターケア」でも紹介しましたが、もうひとつ私がお勧めしたいのは、全身が映る鏡の前に裸で立って、自分の体をチェックすること。
これは体の歪みのチェックもできますが、不自然に脂肪がついてきたとか、肌が荒れているとか、体調を知る手がかりもたくさん得られます。
これも大切なのは毎日チェックすること。体の微妙な変化に気づくことができるようになり、自分と対話することができるようになります。
太ったことを発見するにも、ただ体重が数値として増えたことを知るより、脂肪がついたことを目で見る方が、なんとかしようという気持になるでしょう。

走ることで体調をチェック・調整する

毎日、あるいは週に何度か走るようになると、日によって、「なんだか今日はだるい、疲れてる」と感じる日があるかもしれません。走りすぎで疲れがたまっているなら、走らない方がいいのですが、仕事の気疲れや食べ過ぎが原因なら、逆に走った方がすっきりすることもあります。
迷ったら、とりあえず軽くウォーミングアップ的に走ってみるといいかもしれません。少し汗が出てきたくらいのところで、本当に体調が悪ければ、だるさが増して走りたくなくなりますし、体に問題がなければ気分がよくなり、もっと走りたくなるはずです。
私はよく海外に出かけたとき、時差ボケ解消のために、到着したらまず軽く20~30分走るようにしていました。走る習慣がついている人なら、軽いランニングは血流をよくして体調を整えてくれますから、だるさの解消にも役立つと思います。

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1.毎日の食事で気をつけたいこと

健康のために栄養をしっかりとる

私は、母が調理の仕事をしていたこともあり、小さい頃から食事でしっかり栄養をとるようにしつけられました。おかげで好き嫌いより体にいいものを食べる習慣が身につきました。
子供の頃、好き嫌いはそれなりにありましたが、母が料理を工夫してくれたので、栄養が偏ることはありませんでした。
母の教えで、今でも特に心がけているのは、野菜や魚など、季節の素材をきちんと食べること。食材というのは旬の季節に一番栄養価が高くなるからです。

毎日健康で楽しく過ごすために、食事はとても大切だと思います。好きなものを楽しむのもいいですが、体のために栄養をとるという基本を忘れないようにしてほしいですね。

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中学時代に運動を始めてからは、とにかくお腹がすくので、自然と何でも食べられるようになりました。好き嫌いなく、何でもおいしく食べられるようになることも、スポーツのいいところだと思います。
陸上選手として真剣に結果を求めて練習するようになってからは、強くなるために食べるものを選ぶようになりました。その日の練習メニューによって、食べるものを変えるんです。
たとえば同じタンパク質でも、長い距離を走ってダメージが大きいときは肉を、そうでもないときは魚を食べるとか。
朝は内臓に負担をかけないよう、軽めに植物性タンパク質をとり、夜は動物性タンパク質でしっかり疲労回復させるというタイミングにも気をつけていました。
私の場合、生肉や刺身を体が欲するので、よく食べていましたが、これは私に合っていたというだけで個人差があると思いますから、自分の体と対話しながら、自分に合ったとり方を工夫してください。

素材の組み合わせにも意味がある

私はランナー時代から体重コントロールのために、脂肪をとりすぎないよう気をつけてきました。特にフライや天ぷらなどの揚げ物は基本的にとらないようにしています。
脂っこいものを食べるときは、脂肪燃焼効果があるアミノ酸を摂取するため、アミノ酸を豊富に含む黒酢などの酢や、タンパク質を一緒にとるといった工夫をするといいでしょう。
西洋には、豚肉にはりんご、鶏肉にはオレンジ、牛肉にはベリー系といったように、肉とフルーツを組み合わせた伝統料理がありますが、これはそれぞれの肉に合った分解酵素を含んでいるから。
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これからランニングを始める人のために、 ランニングの魅力、
楽しく走るためのノウハウなどを、 有森さんがやさしく解説。

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6.マラソンの魅力とチャレンジのすすめ

レースならではの楽しさ

走る習慣が身についてきたら、レースに出てみるのも楽しいものです。フルマラソンでなくても、5㎞、10㎞から20㎞、30㎞など、色々な距離のレースがありますから、自分の走力に応じて楽しむことができます。
レースの魅力はなんといってもみんなで走る楽しさ。沿道の声援を受けながら、たくさんの人たちと走るだけでテンションが上がります。
大げさに言えば、「自分が世の中とつながっている」、「自分が生きている」という実感が味わえるんです。
タイムや順位は気にしなくても、「今回は何km地点で歩いたから、次は最後まで走れるようになりたい」といった次の目標が生まれ、それが日々走るためのモチベーションになったりもします。

多様化するレースと旅ランの魅力

最近は全国に多種多様なレースが生まれています。
その土地の名所や絶景ポイントをめぐるコース設定になっている大会も多く、「さくらんぼマラソン」「ピーチマラソン」など、郷土の名産品とからめた大会も数多くあります。
マラソン大会を通じて観光やご当地グルメまで楽しめる。スポーツで心身ともに健康になれて、全国の色々な土地の魅力が味わえる。これもレースの大きな魅力になっています。

フルマラソンは誰でもできるチャレンジ

東京マラソンが開催されるようになって、フルマラソンにチャレンジする人もいちだんと増えました。
「42.195kmなんてととんでもない距離、自分にはとても無理」と思っていても、ちょっとがんばって練習したら意外に完走できてしまったという人も多いはず。フルマラソンというのは、大変だけれども誰でもチャレンジできる絶妙な距離だと思います。
大切なのは途中でやめないでやりとげること。歩いてもいいんです。あきらめなければ必ずゴールできますし、完走したら色々なものが見えてきます。それは生きることへの自信かもしれませんし、もっと走りたいという気持かもしれません。人それぞれの発見があり、それが次へポジティブにつながっていく。
それがマラソンのすばらしさだと思います。

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5.コンディショニングとアフターケア

体のケアはまず体のチェックから

気持ちよくランニングを続けるためには、体のケアも大切です。
走る前に軽く体操をして体をウォームアップするだけで、気持ちよく楽に走れますし、走ったあとにちょっとしたストレッチをするだけで疲れがとれます。
ほかにもトレーニング後のアイシングやマッサージ、温泉、カイロプラクティクスなど、体をケアする方法は色々あります。
でも、私がまずお勧めしたいのは自分の体をチェックすること。体の状態を知らなければ、自分が必要としているケアはできません。

鏡で毎日全身をチェック

体をチェックする方法には色々あります。
たとえば靴底がかたよった減り方をしていたら、骨盤にゆがみがあって脚のバランスが崩れていることがわかります。
また、直立の姿勢から前屈してみると、腕・手のバランス、腰の高さのズレから体のゆがみがわかります。
女性の場合は、タイトスカートをはいているときに、いつのまにかスカートが回ってしまう人がいますが、これも骨盤のゆがみがある証拠です。
一番いいのは、全身が映る鏡で毎日体を見ること。お風呂のついでにできるだけ裸に近い格好で鏡の前に立ってみるんです。背骨や骨盤のバランスが崩れているとすぐにわかります。

こうしたゆがみは走りのバランスの崩れにつながり、自然な走りができなかったり、故障の原因になったりします。

日常の姿勢・動作から体を矯正

ひどいゆがみは専門家の治療を受ける必要がありますが、軽いものは日常の姿勢や動作に気をつけることである程度調整できます。
たとえば骨盤のゆがみは脚を組むクセが原因のひとつです。脚を組まない、あるいは左右交互に組むことで、ゆがみはかなり改善できます。
また、ショルダーバッグを片方にだけかけていると、片寄った負担がかかり、体のゆがみにつながることがあります。左右均等に負荷がかかるナップサックのようなバッグがいいのですが、仕事などでそれが難しい場合はショルダーバッグを左右交互にかけて、一方に片寄らないようにするといいでしょう。

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4. 良いフォームで走るための注意点

フォームは走りながら少しずつ良くしていく

ランニングの技術というのは複雑で奥が深いものです。でも、最初はあまり難しく考えずに、楽しさを最優先して走る習慣をつけましょう。 興味があれば、本などで走り方のノウハウを勉強するのはいいことですが、最初から「こういう走りができないとだめ」と思い詰めないこと。 フォームのポイントを頭に思い浮かべながら走っていれば、そのうち自分の走り方についてあれこれ気づきが生まれます。そこで「もう少しここをこうしてみよう」と考えるようになり、あれこれ試していくと、少しずつ良い走りができるようになります。

注意したいのは視線と腕振り

走り方のポイントとして気をつけてほしいのは視線の置き方。 視線が高いとあごが上がって腰が落ち、歩幅が狭くなって窮屈な走りになってしまいます。視線は水平より少し下、前にランナーが走っていたら、その腰のあたりを見る感じに置くといいでしょう。 もうひとつのポイントは腕の位置。女性にはよく腕を体から離している人を見かけますが、体から離れた位置で腕を振ると体の動きがブレやすくなります。腕は体の近く、手はウエストの高さ、指は親指と中2本の指を軽く丸めて円を作る感じで、力まずに軽く腕を振りましょう。

生活の中で上半身の筋力強化を

ランニングで意外に大切なのは上半身の筋力です。「走るのは脚」と思っている人が多いようですが、走るということは、体重のかなりの部分以上を占める上半身を運んでいるわけですから、上半身がだらっとしていたらものすごい負担が生じます。
逆に、上半身の筋肉がしっかりしていて、下半身と連動して動けば、楽に走ることができます。
筋トレまでやるのは大変という人におすすめしたいのは階段を上り下りする機会を増やすこと。もちろん足腰も鍛えられますが、やってみると意外なくらい上半身の筋肉を使います。
家にバランスボールがある人は、ただ上に座ってテレビを観ているだけで上半身が鍛えられます。
筋力強化というのは特に筋力トレーニングをしなくても、ちょっと工夫すれば日常生活の中で自然にできるんです。

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3.ランニング・グッズの選び方

一番大切なのはシューズ

最近はほんとに色々なランニング・グッズが出ています。防寒や暑さ・日焼け対策グッズなど、快適さや機能を追求したものから、女性らしい可愛さ、美しさを大事にしたものまで実に様々。
でも、全部一通り揃えなければ走れないというわけではありません。
一番大切なのはシューズ。足に負担をかけずに走るには、ランニング専用のシューズが不可欠です。ランニング・シューズと動きやすいウェア上下さえあれば、とりあえず走れます。

専門店でアドバイスを受けながら選ぶ

シューズを買うときは必ず履いて、自分の足に合っているか確かめてから買いましょう。初心者ならソール(靴底)が厚めでクッション性のあるものがおすすめですが、あまり柔らかすぎると着地したときに安定しないので、逆に疲れます。適度な硬さと衝撃吸収性をバランスよく兼ね備えているシューズを選びたいですね。
初心者が自分で判断するのは難しいですから、専門のスタッフがアドバイスしてくれる専門店で、いくつも試し履きして、スタッフに相談しながら、自分に合ったシューズを選びましょう。

1年を通して快適に走るために

シューズ以外では、動きやすく速乾性の素材を使ったウェア、日差しから目を守るサングラス、帽子かサンバイザーはあった方がいいですね。
これに寒さ対策用の手袋、アームウォーマーやレッグウォーマー、ネックウォーマー、ウインドブレーカー、夏の日焼け・暑さ対策用として通気性や冷却機能のあるアームカバーやネックカバーなどがあれば、1年を通して快適に走れます。こうしたものは季節に応じて必要なものを揃えていけばいいでしょう。
ひとつ気をつけたいのは機能のことばかり考えて着込みすぎること。
着込みすぎると体が動きにくくなります。
女性ランナーには夏の日焼け対策が行き過ぎて、過剰に体を覆ってしまい、熱中症になる人がいます。汗をかきすぎて脱水症状になったり、ミネラル不足から鉄欠乏性貧血などを起こす人もいます。給水やミネラルの補給も大切ですが、ウェアも過剰装備にならないよう気をつけたいですね。

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2.ランニングを始めるときに気をつけたいこと

無理は禁物

ランニングを始めるときに気をつけたいのは、まず無理をしないこと。
慣れていないうちから距離を欲張ったり、スピードを上げすぎたりすると、膝などに痛みが出ることがあります。
楽しむため、健康のために走るのに、体を傷めてしまっては本末転倒。走っていて、少しでも膝など体のどこかに痛みを感じたら、素直に休みましょう。痛みが消えたら、もう少し楽なレベルからまた始めましょう。

早い段階で休めば、それだけ早く痛みは消え、また走ることができます。故障しないで走っていれば、体は少しずつ強化され、前に痛みが出たような距離やスピードでも平気になります。

続けるコツは体との対話と「腹八分目」

逆に痛みをがまんして走りつづけていると、ダメージが蓄積され、故障して長期間走れなくなってしまいます。中には「自分はランニングに向いていないんだ」と走るのをやめてしまう人もいます。

でもそれは向いていないんじゃなくて、体が送ってくる「休みたい」というサインを無視して、体に無理をさせすぎただけなんです。続けるコツは「腹八分目」。体と対話しながら、コツコツ無理のない範囲で走れば、誰でも痛みに悩まされることもなく、楽しく続けられます。

歩くところから始めてもいい

「腹八分目」と言っても、実際にどのくらいなのか最初はわからないかもしれません。
そういう人はまず歩いてみましょう。たとえば30分のうち25分歩いて、最後の5分だけちょっと走ってみる。それに慣れて物足りなくなってきたら、次は20分歩いて10分走る。その次は10分歩いて20分走り、最後は30分フルに走る、という感じで一歩ずつ段階を踏んでいくんです。決してジャンプしない。

時間で区切るのが苦痛な人は、身近な目標を設定して、少しずつ距離を伸ばしていくといいでしょう。

 

 

1.ランニングの楽しさ・楽しみ方

いつでも気軽にできるランニング

最近はランナーの人口、特に女性ランナーがぐんと増えました。

ランニングはあらゆるスポーツの基本、一番手軽にできる運動です。球技のように特別な設備もチームメイトもいりません。1人でどこでも気が向いたときに走れます。

特別にチームに入らなくても、思い立ったその日から気軽に始められて、日々の生活の中で無理なく楽しめるのがランニングのいいところです。

仲間を通じて世界が広がる

ランニングを通じて仲間を作るのも楽しいものです。

公園でよく会うランナー同士が自然と友達になることもありますし、ランニングクラブに入ればさらにいろんな人と知り合うことができます。

おしゃべりしながら走るのも楽しいものです。ランニングという共通項で、色々な職業や世代の人と仲間になれますし、自分がそれまで知らなかった分野の話を聞いて世界が広がったりします。

走ってみると自分が変わる

ランニングをしていると、いろんな発見があります。

気温や風、木々や花に、季節の変化を感じますし、それが心地よく感じられます。近所を走っていると、「今度あそこに新しい店ができるんだ」といった発見もあります。これもランニングの大きな魅力です。
でも何より楽しいのは、自分の中に起きる変化を発見できること。

走る習慣がついてくると「今日は体調がいい」、「前より長く走れるようになってきた」など、色々な気づきが生まれ、自分の体と対話ができるようになります。

体と対話していると、食事のバランスや睡眠などに気をつけるようになり、自然と健康的な生活ができるようになってきます。そういう自分の変化や進歩がモチベーションになってさらに走ることが楽しくなっていきます。

生活にリズムができますし、メンタルも前向きになり、毎日の生活全体が生き生きとしてきます。
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有森裕子プロフィール

1966年岡山県生まれ。就実高校で陸上中距離選手として活動をスタート。日本体育大学を経て1989年(株)リクルート入社。オリンピック女子マラソンでバルセロナ大会銀メダル、アトランタ大会銅メダルと2大会連続でメダルを獲得。
1998年NPO法人「ハート・オブ・ゴールド」設立、代表理事就任。2002年4月アスリートのマネジメント会社「ライツ」(現株式会社RIGHTS. )設立、取締役就任。スペシャルオリンピックス日本理事長のほか、国際陸連(IAAF)女性委員会委員、日本陸上競技連盟理事、国連人口基金親善大使、笹川スポーツ財団評議員、社会貢献支援財団評議員等を歴任。
国際オリンピック委員会(IOC)女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞。同12月、カンボジア王国ノロドム国王陛下より、ロイヤル・モニサラポン勲章大十字を受章。

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